自然薯ってなに?長芋?やまいも?
食卓に並ぶ“山の恵み”の正体
スーパーの青果コーナーで「長芋」「山芋」「自然薯」と並んでいると、どれも似ているようで違うようで、思わず立ち止まってしまいませんか。実はこの三つ、すべてヤマノイモ科の仲間ですが、それぞれに性格があり、食感や味わいも大きく変わってきます。
まず“本家本元”といえるのが自然薯(じねんじょ)。日本に古くから自生する野生種で、濃厚な粘りと独特の香りが特徴です。すりおろせばとろろご飯にぴったり。古来より「滋養強壮に効く山の薬」とも呼ばれ、珍重されてきました。ただし天然ものは掘るのが大変で、細長く地中深く伸びるため、収穫は熟練の技。今でも“高級食材”として扱われています。
次におなじみなのが長芋。こちらは中国から伝わった栽培種で、現在もっとも流通している種類です。自然薯に比べると水分が多く、さらっとした口当たり。すりおろすと軽やかなとろろに、切ればシャキシャキの食感を楽しめる万能選手です。家庭の食卓で「山芋」といえば、多くの場合はこの長芋を指しているでしょう。
では山芋とは?――実は特定の品種名ではなく、自然薯や長芋、大和芋などをひっくるめた“総称”です。地域や売り場によっては「山芋」とまとめて表記されているため、少し紛らわしいのです。
ちなみに「大和芋(やまといも)」という種類もあります。ゴロンと丸い形で、すりおろすと強い粘りが出るのが特徴。関東を中心に親しまれていて、とろろ料理やお好み焼きの生地に加えると、ふんわり仕上がると評判です。
まとめると、自然薯は野生のルーツを持つ特別な存在、長芋は食卓のレギュラー、大和芋は個性派の粘り強者。そして山芋はそれらをまとめて呼ぶ言葉。呼び名の違いを知るだけで、料理の幅が広がり、選ぶ楽しさも増してきます。
とろろご飯で贅沢に味わうなら自然薯。炒め物やサラダに気軽に使うなら長芋。粘りを生かしたいときには大和芋。次にスーパーで見かけたときには、「今日はどれにしようか」と迷う時間さえも、美味しい体験のひとつになるかもしれません。